10月下旬のある夜のこと

 2022年は年の初めの寒い頃に転職したことがきっかけで、(家族以外の)誰かと一緒に過ごすことの楽しさをからだ全体で覚えてしまった気がする。覚えてしまった、なんて書いてるけどそれはわたしにとってほんとうにほんとうに嬉しいことで。「飲み行こうぜ〜」「この日なら仕事おわり行けます」「おっけー!」くらいのやり取りで飲みに行ったりとか、急遽新幹線に乗って遊びに行ったりとか、美術館とコーヒー屋さんと本屋さんをひたすら歩いて巡る1日を一緒に過ごせる人がいたりとか。去年まではずっとひとりで観に行ってたけど、今年は誘ったり誘われたり、はたまた勢いに乗ったり(?)して、誰かと一緒に映画館で映画を観る機会も何度かあって楽しかった。今思い出してこうやって書いてみるだけでも、幸せな思い出ばかり。

だからか、時折、ひとりで過ごす夜がとてつもなくさみしく思える時があって。あなたたちに話したい言葉ばかり浮かんでくる。寒いのにまっすぐ家に帰りたくなくて、意味もなく遠回りして、コンビニに寄ってしまう。深夜のコンビニのさみしさが、ずっとわたしの居場所だったことを思い出す。そんな夜だけど。AirPodsから流れるカネコアヤノの弾き語りの曲たちだけは、ここにあるさみしさを肯定してくれている気がした。「抱擁」を聴いているとき、こんな気持ちははじめてなんだけど、本当に抱擁されているような気持ちになった。