今日観た映画:マイク・ミルズ『カモン カモン』(2021)
盛大に夜更かしをしたのに、8:00頃には目が覚めた。このくらいの時間には目覚める身体になってきているようでちょっと嬉しい。ぼーっとTwitterを眺めていたら、ナンバーガールがスッキリに出るというので飛び起きてリビングのテレビを点けた。9時25分。ほんとにテレビに出ている。明後日解散するくせに「朝のテレビ番組初出演!」というテロップが出ていて笑う。中古マンションのローン、ズームイン、透明少女。イントロのひさ子さんのギターだけで「ナンバガだ!」って思った。4人のこの音。仕事だったら絶対見れてなかったので、今日は休みで本当に良かった。
とはいえ少しゆっくりし過ぎたようで、慌ててシャワーを浴び、身支度を済ませて出かける。玄関を出たらAmazonで注文した本が届いてた、これは帰宅してからのお楽しみ。長野駅から電車に乗って上田へ向かった。片道40分もかかる電車に乗って映画を観に行くという贅沢な遊び。どうしても『カモン カモン』をもう一度劇場で観たくて、上田映劇まで。
中に入るとA24のグッズが売っていたり、
ネルドリップで淹れてくれるコーヒー屋さんがあったりする。
『カモン カモン』どこから感想を書いていこう。ほんとうにほんとうに観に行って良かった。一度観ただけじゃ咀嚼しきれていなかったことを観ながら理解していった2回目。本当は4月の全国公開していた時に2回観たかったのだけど、8ヶ月という時間をおいたことがむしろ良かったように思える映画体験だった。
ジェシーがジョニーのことも、母親であるヴィヴのことも、「おじさん」「ママ」という関係性だけでなくひとりの人間として認識しているのがすごくいい。ジェシーがそうだから、ジョニーもヴィヴも、ジェシーに対して同じように接しているように思う。
ヴィヴが「自分でも理解できないくらいあの子のことを愛しているけど、あの子の全部を知ることはできない」というようなことを言っているのが良かったし、ジェシーもまた、自分と母親が互いに全部を理解し合えるわけではないことを分かっているのがすごい。家族に限らず、『「家族だから」「親友だから」「恋人だから」この2人は全部を理解しあっていて通じ合っている!』みたいな人物像を描く映画はありふれているけど、「全部は理解し合えない」ということを教えてくれる映画はあまりない。
ジョニーがジェシーとの対話を通じて、あるいは電話でのヴィヴとのやりとりを通じて、自分でも知らなかった自分の内面や見て見ぬふりをしてきた感情と向き合っていくように、これを観ているわたし自身も、この映画を通じて知らなかった自分の内面を発見するような感覚があった。わたしはなにを大事に思っていて、なにが不安で、なにを愛しているのか、なにを愛したいのか、観ながらはっきりと認識していた。家族のどういうところが好きで、どういうところを覚えていたいか、とか。
父から感じる優しさと母から感じる優しさは似ているようで違うものなんだけど、どちらもずっとそのまま覚えていられたいいな。妹は家族の前だと素直に言いたいことをよく喋る子だけど、よそへ出ると途端にシャイな感じになる、でもそんなところも好きだし何よりほんとに素敵な人だから、わたしは彼女の家族でいれて、家族にしか見れない一面を見れていることがとっても嬉しい、そんなことを考えていたらギャンギャンに涙が出てきてマスクがぐしょぐしょになってしまった。
映画を観て涙を流すとき、もちろん感動もあるけれどそれ以上に、映画を通じて初めて認識できる自分の内面や感情を前にして涙を流すことが多い気がする。この前の『秘密の森の、その向こう』を観たときの涙もそういう種類のものだったと思う。今年はそんな映画をたくさん観れた。